理美容鋏
Hair cut scissors and Thinning scissors
Hair cut scissors and Thinning scissors
PHXが使用する鍛造材は板材を使用します。丸棒は製造方法として引き抜き加工で造られているため、組織が内部と外周部ではバラつきがでます。また、丸棒で鍛造することにより変形量が多く、金型に対する負荷が大きくなってしまい金型の寿命を短くしてしまいます。
金属を高温度に加熱すると、表面が酸化して結晶粒が粗大してしまいます。また必要以上に熱くなると柔らかくなり過ぎ、加工後に変形してしまうという危険性があります。しかし、一般的に温度が高いほど金属はやわらかくなり伸びが増すことから加工がしやすくなります。つまり金型の傷みが少なくなるという製造側の利点があります。メーカーとしては鋏の品質を優先するか、自分達の作りやすさを優先するかのどちらかを選ばざるを得ないわけです。
PHXでは品質を最優先として考えておりますので、必要最低限の低温を保つ低温鍛造を行った鍛造材を使用することで加工後の変形を防止します。
Know the raw materials.
「440C」はJIS規格の鋼材となっており様々な会社が製造しておりますが、日立製の鋼材は業界で最も評価されております。
「440C」が評価される理由は日立の製鋼技術により非常に純度が高くなっているからです。そのため規格は同じなのですが日立の「440C」鋼は競合他社の同規格鋼材に比べて価格が1.5~2割程度高くなっております。
硬さは同じですが、耐摩耗性が強く、粘さ・対靱性が大きく違います。対磨耗性に強い=加工しにくい鋼材となりますので扱うには技術と手間が必要となります。そこで手間を掛けた分が最終的な「鋏の永切れ」を維持することに繋がるわけです。
「ATS314」鋼はステンレスコバルト合金の鋼材。コバルト合金を混ぜることにより、高い硬度・優れた耐磨耗性を持たせることができました。(ということは「日立440C」より更に加工しにくい鋼材)
「日立440C」よりも上位鋼材となり、価格も高くなります。
この「ATS314」は新潟三条の刃物鍛冶屋として歴史がある『株式会社 山村製作所』のオリジナル鋼で、材料メーカーである日立金属に成分指定を行い製造してもらっているという製品です。『株式会社 山村製作所』のノウハウが詰まった鋼材ですので、他社は作れない鋼材となっております。
Good quality material.
刃物は古代、人が手にした最初の道具として生活に密着し、今日に至ります。
刃物で食物を切る場合、ましてや人体に触れる場合、「錆」の付着は不快であり、その力を発揮することができません。
「錆」の付着を解消すべくステンレス製の刃物が登場しますが、当初は刃物に適したステンレス銅がなかったため結果は不評でした。そこで刃物に適した「V金1」が誕生します。「V金1」から作られた刃物は、刃物の4大条件である、硬い、ねばり強い、磨耗しにくい、錆にくい、の全てを兼ね備えています。
C量1.0%、1次および2次炭化物の共存、14% Cr・Mo量含有により、耐摩耗性や耐久性、強度に効果を発揮します。理美容鋏、厨房用包丁、食品工業用機械刃物等々、幅広い分野で活躍しています。
様々なシーンに適した刃物を選ぶ際、要求される条件が常にあります。
「V金10」はCr15%、Mo1%、Co1.5%の添加により素地(マトリックス)の強化、炭化物の脱落防止効果を発揮。
Vの添加により組織を微細化し、耐摩耗性を向上させます。これらの性質を備えた「V金10」から作られた刃物は、永切れが持続し、刃研ぎも容易です。また、約450°Cまでの表面コーティング処理を施す刃物にも最適です。
New techniques
ステンレス刃物鋼の超高級鋼種でコバルトの特性である耐食性、耐摩耗性、研削性、加工性等を考えた場合その全てを具備しています。炭素(C)は1.1%含有、クロム(Cr)16%含有で、他に比類のない耐食性を発揮。コバルト(Co)は素地を強化し、炭化物の脱落防止に効果的です。
別名ステンレス・ハイス(high-speed steel)。高度な製鋼技術により製造が可能となる為、一般的に超高級刃物鋼として知られています。4大条件となる『高硬度であること』、『高靭性であること』、『耐摩耗性が良いこと』、『耐食性に優れていること』を高い水準で条件を満たしていることが特徴です。セラミックコーティングやフッ素樹脂コーティングによって劣化することなくその特徴を発揮します。
New techniques
性質の異なる2種類の鋼材を数十層重ね、当社独自の圧延技術によるクラッド鋼(圧着鋼)。炭化物を極限まで微細化する事を可能にした製法。炭化物を微細化する事により得られるメリットとして、耐磨耗性の向上、熱処理時の変寸が少なくなる、等が挙げられます。
独特な積層模様となる為、意匠性が向上します。
(※当ページの素材説明内容は山村製作所様及び武生特殊鋼材株式会社様のホームページから一部引用させていただいております。)